特集 脊椎分離症・辷り症
総括/前方固定術の部
井形 高明
1
Takaaki IKATA
1
1徳島大学医学部整形外科学教室
pp.309-310
発行日 1982年4月25日
Published Date 1982/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408906523
- 有料閲覧
- 文献概要
VI.セクションでば脊椎分離辷り症に対する前方固定術に関する5題が発表された.採用した術式はMercer法,Harmon法,独自の方法などであり,それぞれの臨床症状の改善,骨癒合の実態および骨癒合不全の原因,さらには生理的腰椎前彎や腰仙角の変化ならびに隣接椎間への影響などが詳細に分析,検討された.会場からも,各演題に対し活発な質疑,意見が寄せられ,本症に対する前方固定術の成績ならびに問題点が一段と明らかにされた.以下,その成果をとりまとめて報告する.
VI-1の金沢大・島らは40例について,平均10年8カ月の予後調査結果を述べた.まず,成績では優,良が分離症78.6%,辷り症96.1%であり,ほとんどの症例が職業を変更していなかった.骨癒合状態は完全癒合例が少なく,その原因を移植骨と下部椎体との接触面積の狭さに求めていた.さらに,術後の脊柱変化を検討し,隣接椎間の狭小化や腰仙角の減少を指摘した.いずれにせよ,これらの変化や骨癒合不全は臨床症状に影響するものではなかったと報告した.
Copyright © 1982, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.