特集 脊椎分離症・辷り症
総括/病態と術式選択の部
平林 洌
1
,
小野 啓郎
2
Kiyoshi HIRABAYASHl
1
,
Keiro ONO
2
1慶応義塾大学医学部整形外科学教室
2大阪大学医学部整形外科学教室
pp.303-305
発行日 1982年4月25日
Published Date 1982/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408906520
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第1席の北島ら(上都賀)は,本症46例の中でとくに神経根症状を呈した12症例について検討を加えた.その結果,半数の6例では主にroot tunnelの狭窄が原因であったが,他の6例では椎間板ヘルニアまたは不明の原因であったという.前者は高位別には分離部狭窄型と分離部上位狭窄型に分けられ,狭窄を惹起する要因として椎体後縁の骨棘形成,椎体の回旋,椎間関節のO-A性変化をあげた.分離部狭窄型では分離椎の前後方向への辷り様運動が,上位狭窄型では分離椎を中心とした回転様運動が負荷となって狭窄性の変化を生じるとした.
分離という力学的弱点は,分離部推間板をはじめとして当然椎間関節にも影響を及ぼす訳であり,X線の動態観察によるこの種の研究が今後症例を増やして一層発展することを期待したい.
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