手術手技
人工股関節全置換術に対する腰部硬膜外麻酔法の応用について
津布久 雅男
1
Masao TSUBUKU
1
1国立療養所村山病院整形外科
pp.1013-1017
発行日 1978年11月25日
Published Date 1978/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408905801
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はじめに
われわれは,昭和47年にCharnleyの低摩擦人工股関節置換術(Low Friction Arthroplasty)1)を採用した.その成績が極めて良好であることから適応疾患は変形性股関節症(以下O. A.と略す),から慢性関節リウマチ(以下R. A.と略す),強直性脊椎炎(以下A. S.と略す)等のリウマチ性疾患はもとより,大腿骨頸部内側骨折,大腿骨骨頭無腐性壊死,股関節結核へと拡げられた.
元来,高齢者が主なる対象であるので心肺機能の障害,脳血管障害,あるいは糖尿病等の老人病を合併している例が多いのはもちろんであるが,さらに適応疾患の拡大により,それぞれの疾患に特有な合併症を有する症例(例えば,R. A.における頸椎,頸髄障害,開口障害,強直性脊椎炎の肺合併症,股関節結核の肺病巣,大腿骨骨頭無腐性壊死にしばしばみられる肝障害等)に遭遇することが少なくない.したがつて,これらの症例の麻酔には,吸入麻酔での逆行性挿管等の新しい工夫を加えるか,吸入麻酔以外の麻酔法の選択を必要とするようになつた.
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