論述
外傷性環椎後頭関節脱臼生存例について
河西 成顕
1
,
宮川 準
1
,
中井 定明
1
,
小林 慶二
1
,
宗近 靖
2
Shigeaki KAWANISHI
1
1慶応義塾大学医学部整形外科学教室
2飯田市立病院整形外科
pp.959-967
発行日 1977年10月25日
Published Date 1977/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408905600
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上位頸椎外傷の報告の多くが環椎,軸椎の骨折に関するもので,骨傷を伴わない上位頸椎脱臼についても,殆んどが環軸関節の前方脱臼,回旋脱臼に限られている11,14,17).事実,共著者の1人小林18)の百余例の上位頸椎損傷の集計でも同様の傾向を示している(第1表).一方,環椎後頭関節脱臼はまことに少なく,その生存例にいたつては,欧米で僅かに3例を数えるのみであり8,10),本邦では未だその報告をみない.われわれは,すでに本外傷の死亡例を3例経験しているが,最近,本邦初例と思われる生存例を経験したので,同脱臼の臨床像の検討を行ない,受傷機転,治療および生存の可能性についての考察を加えて,ここに報告する.
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