論述
10歳代の腰椎椎間板ヘルニア—とくに若年性ヘルニアの臨床と問題点
辻 陽雄
1
,
伊藤 達雄
1
,
豊田 敦
1
,
山田 均
1
,
大須 英夫
1
,
秋田 徹
1
Haruo TSUJI
1
1千葉大学医学部整形外科学教室
pp.945-958
発行日 1977年10月25日
Published Date 1977/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408905599
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
昭和32年から昭和51年11月までの19年間に経験した(千葉大学および川崎製鉄病院)腰部椎間板ヘルニアは719例であるが,20歳未満のヘルニアは56例(7.8%)である.諸外国における10歳代のヘルニアに関する報告をみると腰部椎間板ヘルニアが占める割合は,0.8%(Rugtveit28),1966)から3.8%(O' Connell26),1960)程度で稀なものとされているが,本邦ではこれに比べて著しくその比率は高い.これまでの報告では片岡ら14)(1968)の12.5%が最低で,最高は須田ら29)(1972)の22.3%を数える.
元来,腰部椎間板ヘルニアは10歳以降にはじまる緩徐な退行性変化に運命づけられている椎間板とこれに加わる力学的負荷との相互作用が病因の主役をなしていることは一般的に認められている.10歳代とくに15歳以下にみるいわゆる若年性ヘルニアには何か異なつた要因があるであろうことも想像に難くない.外傷性因子の存在は報告者の大半がみとめるところであるが,すべてにみられる訳でもない.内因に関する検討もまた要求される.
Copyright © 1977, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.