臨床経験
針麻酔,針治療の臨床応用
鎌野 俊彦
1
,
青木 虎吉
1
,
滝川 一成
1
,
梶原 要
2
,
坂本 元彦
2
Toshihiko KAMANO
1
1順天堂大学医学部整形外科学教室
2国立伊東温泉病院整形外科
pp.897-902
発行日 1977年9月25日
Published Date 1977/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408905592
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はじめに
秦,漢の時代(BC 249〜AD 8)に編纂されたといわれる「黄帝内経」素問24巻1),霊枢12巻2)は現存する中国医書の最古のものとされ,特に霊枢は別名針経ともいわれ針術に関する論説と実施方法が詳細に記載されている.わが国へは奈良時代のはじめに,仏教とともに伝えられた.大宝令には医師,医博士,医生,針師,針博士,針生の官制が定められていた.医心方30巻(984)は現存するわが国最古の医書であり,その著者丹波康頼は針博士であつたといわれる,江戸時代に入り針灸術は急速に普及し,薬物療法(湯液)とともに日本独自の方法が完成され大いに発展した.明治時代に入り西洋文明の輸入とともに西洋医学が医学の主流となり東洋医学,特に針灸は非科学的な経験医学とされ民間療法としてとどまるにいたつた.しかし昭和に入つてからは,戦前戦後を通じて一部の医学者により針灸についての科学的研究がなされ今日に至つている.長浜の針灸理論3),間中の経絡研究4)は優れた著書であり,中谷の良導絡理論5),赤羽理論のシーソー現象6)は評価すべきりつぱなものである.
電気的エネルギーを医学に応用する考えは1800年前後からあつたが臨床的に用いられることは少なかつた.1902年フランスのLuducが低周波電気の発生装置を考案し,医療面に応用されるようになつた.
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