論述
大腿骨頸部内側骨折後の骨頭の運命と治療法の検討
伊藤 鉄夫
1
Tetsuo ITOH
1
1京都大学医学部整形外科学教室
pp.106-116
発行日 1977年2月25日
Published Date 1977/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408905472
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
大腿骨頸部内側骨折の研究の歴史は古く,おびただしい数の研究業績が報告されている.しかし今日まで疑う余地がないと思われていたPauwels分類法に対して英国学派(Garden)は反論し,骨折型はただ一つあるだけですべて同型である.異なるのは骨片の転位の段階であると主張した.この論争はまだ決着をみないまま今日に至つている.さらに治療面をみるに,Smith-Petersen三翼釘出現以来,実に多くの改良釘が試作されているにもかかわらず,治療成績は向上せず,術後の骨頭陥没collapse発生率は依然として20〜30%を下らない.これらのことは本骨折の難治の原因がまだ解明されていないことを物語つている.著者は人工骨頭置換術のさいに摘出された骨頭標本を蒐集し,骨折型,骨頭の病変について検討し,さらに実験的研究を行つて骨折後に起こる骨頭の病変について研究を行つた.本稿にその概略を記す.
Copyright © 1977, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.