論述
頻回の関節内ステロイド注入により起こるステロイド関節症について
鳥巣 岳彦
1
,
馬庭 昌人
1
,
川嶌 真人
1
,
香月 一朗
1
,
北野 元生
2
,
徳藤 真一郎
2
Takehiko TORISU
1
1九州労災病院整形外科
2九州労災病院病理組織診断部
pp.119-131
発行日 1977年2月25日
Published Date 1977/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408905473
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1951年Hollanderら7)によつて紹介された関節炎に対する局所ステロイド注入療法は,局所において優れた抗炎症効果が期待できることや,全身的な副作用が少ないことより,広く一般に行われている.一方1958年Chandlerら3)はステロイド剤の関節注入は疑いなく関節炎の症状を改善させる反面,関節の著しい破壊を起こす場合があることを報告した.その後,頻回の関節内ステロイド注入によつて引起こされるステロイド関節症に関し,多くの報告があるが,そのほとんどは臨床的,レ線学的研究か動物実験による報告である.レ線所見に病理組織所見を対比させた報告は少ない.
今回われわれは慢性関節リウマチの経過中,頻回のステロイド剤の関節注入によつて,急速に関節破壊を起こしてきた4症例について臨床的,レ線学的,病理組織学的検索を行なつた.その結果,これらの症例の関節軟骨の病理組織像は動物実験のそれと一致しており,しかも滑膜や露出せる骨組織より本症の発生機序に関する2,3の知見を得たので報告する.
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