臨床経験
三たびの手術施行後も進行せる頸部脊椎症と思われる症例
大平 民生
1
,
平林 冽
1
,
細谷 俊彦
1
Tamio OHIRA
1
1慶応義塾大学医学部整形外科学教室
pp.958-964
発行日 1976年10月25日
Published Date 1976/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408905420
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はじめに
頸部脊椎症は椎間板の変性に基づく,頸椎の静,動的機能の破綻によりひきおこされる疾患で,一般に慢性の経過をとり,局所症状,根症状,脊髄症状等多彩な病像を呈する.しかし典型的な経過,病像を呈する症例では,X線所見,椎間板造影,脊髄造影,EMG等の諸検査の結果を総合すれば,本症は比較的容易に診断できる.
また治療的にはair-drillの導入により,その手術成績は近時一段と進歩し,放置もしくは保存的治療に終始すれば当然さらに悪化したであろう患者の予後を良好なものとしている.しかしながら術後の急性増悪の症例を別として,適切と思われる手術を行なつたにもかかわらず術後長期にわたり徐々に増悪する症例を稀れには経験する.
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