論述
肩関節にみられた"Charcot like arthropathy(Chandler)"の一例—その発生機序と"内因性関節外傷"の提唱
荻野 幹夫
1
,
古谷 誠
1
,
浅井 春雄
1
,
蜂須賀 彬夫
1
,
村瀬 孝雄
1
,
笹 哲彰
1
Mikio OGINO
1
1国立病院医療センター整形外科
pp.502-509
発行日 1976年6月25日
Published Date 1976/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408905357
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要約
本文においては,血清梅毒反応は陽性であつたが,臨床的に梅毒性神経症状がない例での五十肩に,繰り返し局所的にsteroidを投与した結果発症したと思われるsteroid arthropathyの一例を報告した.
その病理組織像の検索を行い,本症の発生機序をsteroidの抗炎症,疼痛軽減作用,組織修復力の低下によつて助長され,加速されておこつた"内因性関節外傷"による骨・軟骨骨折に神経病性関節症の色彩を帯びたものとしこれを図示した.
"内因性関節外傷"は"外因性関節外傷"に対するもので,この概念は肩関節のような負荷の少ない部分にも,膝のような負荷の多い部位と同様に適応でき,病変の発症機序の説明に都合がよい.内因性関節外傷と外因性関節外傷は区別して考えるべきものと思われる.
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