論述
巨細胞の出現する骨腫瘍およびその類似疾患の組織像について—I.骨腫瘍
大野 藤吾
1
Togo OHNO
1
1帝京大学医学部整形外科学教室
pp.8-17
発行日 1976年1月25日
Published Date 1976/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408905296
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はじめに
骨腫瘍およびその類似疾患でみられる巨細胞は,大きく分類すると腫瘍細胞性巨細胞と組織球由来の巨細胞に分けられる.骨では骨吸収の機能を持つ破骨巨細胞がしばしば出現するが,その機能から,組織球に近縁の細胞と考えられる.第1表に,巨細胞を列記するが,Sternberg-Reed巨細胞は,腫瘍細胞性巨細胞の範ちゆうに属するが,他の巨細胞はいずれも性格上,組織球由来の異物巨細胞と同類と考えられる.それぞれの歴史的背景により,特別な名称がつけられたにすぎない.
一般には,巨細胞は,組織学的診断上の決め手とはなり得ないが,Hodgkin病に関しては,Sternberg-Reed巨細胞の存在が診断上の有力な決め手となつている.
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