特集 臨床医必携 単純X線写真の読み方・使い方
骨格系
骨腫瘍―症例から学ぶ骨腫瘍とその鑑別疾患
松島 理士
1
,
福田 国彦
1
1東京慈恵会医科大学放射線医学講座
pp.281-287
発行日 2004年11月30日
Published Date 2004/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402101216
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典型的な症例
皮質骨不整症候群(cortical irregularity syndrome)
cortical irregularity syndromeは,腫瘍性病変との鑑別が重要となる骨格筋の腱付着部のストレスに起因する変化である1).若年者の大腿骨遠位骨幹端内側後面の腓腹筋内側頭ないし大内転筋の腱付着部に好発する.単純X線写真上,症例のような長管骨骨幹端に骨皮質の菲薄化と境界明瞭な硬化縁を伴う囊胞状の溶骨性変化を示す.若年者で無症状,単純写真で上記のような典型像を呈するときはさらなる検査は不要である.疼痛や非典型的な画像所見を呈するときはMRIによる精査が必要で,本症例では疼痛の原因となる外側半月板断裂が認められた.加齢とともに硬化性変化を呈し溶骨性変化は消失する.基本的には画像で診断が可能であり,放置可能な疾患であるため,この部位にこのような所見を若年者に認めた場合には,この生理的皮質骨不整を考えるべきである.
症例提示設問 骨腫瘍を含めた骨軟部領域の診断においても単純X線写真は最初に行われる検査である.本稿では臨床現場の臨場感を感じながら読み・学んでいただくために,実際の症例の単純X線写真を呈示し,クイズ形式にて執筆した.
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