臨床経験
最近の乳児化膿性股関節炎について
片田 重彦
1
,
村上 宝久
1
,
熊谷 進
1
Shigehiko KATADA
1
1国立小児病院整形外科
pp.1035-1044
発行日 1975年11月25日
Published Date 1975/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408905273
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はじめに
乳児化膿性股関節炎の病態は,抗生物質の出現以来大きな変貌を見せている.強力な抗生物質の普及により,戦前のごとく死に至る程の重篤なものは見られなくなり,疾患自体も減少している.このためこの疾患に対する認識が一般に少くなつてきているようであり,早期の整形外科的処置の機会を失して高度の関節破壊を惹起し重大な機能障害を後遺する患児はむしろ増加しているようである.
最近10年間に当科で治療した2歳以下の化膿性股関節炎は24症例であり,その長期経過からretrospectiveに病型を分類し,また成績判定基準を作成して成績を左右する因子について検討を加えてみた.更に病的脱臼に対するColonna手術の成績,適応なども検討し,これらの結果から乳児化膿性股関節炎の最近の傾向に関して若干の知見が得られたので報告する.
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