カラーシリーズ
関節鏡診断 5
渡辺 正毅
1
1東京逓信病院整形外科
pp.744-747
発行日 1975年9月25日
Published Date 1975/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408905233
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
骨関節炎の関節鏡所見としては,滑膜絨毛の増生とその循環障害あるいは軽度の炎症,関節軟骨面の光沢低下,線維化,粗糧化,潰瘍形成,辺縁隆起,半月板の変性断裂などが挙げられる(第3図〜第5図).滑膜絨毛は細長型slender typeで,貧血性であるが,関節鏡開始後数分間で内部の血管が見えてくる.この充血反応は少なくも2週間持続する.関節軟骨,半月板,滑膜の関節鏡所見と骨関節炎の病理,臨床との関係は今後研究が展開されるべき領域である.
膝関節炎とくに単発性の膝関節炎の診断はむずかしいことが多い.従来の方法で診断困難の単関節炎に対して関節鏡検査と生検を行った症例について当科の武田,守屋が行った調査は第1表のごとくで,その約半数の症例は関節鏡と生検を行うことによって診断が確定されることがわかった.色素性絨毛結節性滑膜炎PVS,osteochondromatosis,結核性滑膜炎など(第1,2図,第6,7図)は比較的容易に診断される.
Copyright © 1975, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.