カラーシリーズ
関節鏡診断 3
渡辺 正毅
1
1東京逓信病院整形外科
pp.548-551
発行日 1975年7月25日
Published Date 1975/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408905204
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膝内障の関節鏡診断は,21号関節鏡およびその使用技術の開発により,確実容易となった.関節鏡診断は直接的観察であるから,所見の解釈は,間接的診断法である造影法に比し,はるかに簡単である.最も大切なことは,如何にして対象を視野内にとらえるかにあるといえる.
関節鏡は,単に半月板損傷の有無を判定するだけでなく,治療方針をきめる資料となるような詳細な所見をつかみ,さらに半月板損傷と関連深い十字靱帯・関節軟骨面および滑膜の変化を同時に観察することができる.また臨床診断のむずかしいバケツ柄状断裂で転位の大きいもの,造影法で診断不確実な外側半月板後節の水平断裂などを明確に観察することができる.十字靱帯の断裂はstressレ線診で診断されるが,靱帯がどの部分で切れたかは関節鏡によらないとわからない.前十字靱帯の単独不全断裂も,関節鏡以外の方法では診断しがたい.病的滑膜皺襞にもとづく膝内障,軟骨性関節遊離体,小さなosteochondral fractureなどの診断は,関節鏡の独壇場である.
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