臨床経験
先天性腰,仙,尾椎欠損症の1例
中村 昌弘
1
,
川村 次郎
2
,
林 宏
2
Masahiro NAKAMURA
1
1聖母整肢園
2大阪大学医学部整形外科学教室
pp.543-545
発行日 1975年6月25日
Published Date 1975/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408905203
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脊椎欠損症には,下位尾椎の欠損症から第10胸椎以下腰,仙,尾椎全欠損症まで種々の程度の欠損症が報告されているが,これらは稀な奇形と考えられている.外国では1852年Hohlが初めて本症を報告している.わが国では1929年金井,小室による初めての報告以来私達が調べ得た限りでは28例が文献的に見られる.しかし下位仙椎以下全尾椎の欠損症や尾椎のみの欠損症は,ときに内反足やあるいは尿失禁のみを主訴としたりまた全く無症状で偶然の機会に見つかつたりもしている反面胸椎にまでも及ぶ欠損症は死産になる可能性も大きく死産児の中により広範囲の欠損症があると推測される.文献上知り得たところでは生産児では第10胸椎以下腰,仙,尾椎の全欠損症が最も広範囲であつた.私達は最近第1腰椎以下尾椎までの全欠損症の1例を経験したので報告し,若干の文献的考察を加えた.
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