論述
ペルテス病の治療—Abduction Plaster Cast法について
岩崎 勝郎
1
,
鈴木 良平
1
,
井上 喜博
2
,
岡崎 威
2
,
近藤 晴彦
3
Katsuro IWASAKI
1
1長崎大学医学部整形外科学教室
2国立大村病院整形外科
3長崎県立整肢療育園
pp.368-376
発行日 1974年5月25日
Published Date 1974/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904987
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はじめに
従来ペルテス病の治療法としては免荷が基本的なものであつたが,近年,大腿骨々頭を寛骨臼内に深くつつみこんで,骨頭へのmouldingを行なわせるという考え方にかわつてきた.
Craig(1963)は,保存的にはabduction cast,観血的にはderotation osteotomyを推奨し,また,Axer(1965)は,subtrochanteric osteotomyが骨頭変形防止に有効であると述べている.Harrison(1966),Katz(1967),Karadimas(1971)なども股関節を外転位に保持するCastやBraceで治療した方が,従来の免荷を主とした保存的療法より良好な結果を得たと報告している.さらにKatz(1967)は,大腿骨々頭の発育機構の障害と変形発生との関係を考察し,骨頭の寛骨臼によるmouldingの必要性を強調した.Petric(1967,1971)は,股関節45°外転位のBraceを作つて歩行させ,治療期間の短縮をみたと報告し,またSalter(1972)は,innominate osteotomyを行なつて骨頭を十分にcoverしたあと荷重させている.本邦においても同様な考え方のもとに,股関節を外転位に保持し歩行ができるような装具の考案が西尾(1969),武部(1972),渡辺(1972)らにより報告されている.
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