臨床経験
両側股関節に対する全置換術
渡辺 良
1
,
赤坂 靖三
1
,
琴浦 良彦
1
,
蒲 公洋
1
Ryo WATANABE
1
1岐阜市民病院整形外科
pp.944-948
発行日 1973年11月25日
Published Date 1973/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904911
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はじめに
骨切り術の適応とならない高度の両側性変形性股関節症に対する手術的治療法としてはSmith-Petersón,Aufrancらによるcup arthroplastyをはじめMilch,Batchelor,Hackenbrochなどによるrescetion-angulation-osteotomy,股関節固定術などが知られているが,resection-angulation-osteotomyにおいては脚の著るしい短縮を招く欠点があり,股関節固定術は一側のみにしか行なうことができないばかりでなく,強直脚が必ずしも支持脚とならないため,反対側股関節の免荷が行なわれにくいという欠点を持つている.cup arthroplastyはAufranc1)らによれば,除痛効果のみならず良好な運動性,歩行能力をも獲得できる優れた治療法であるが,長期間にわたる免荷と,慎重なリハビリテーション・プログラムが必要であり,術後のプログラムが適切に行なわれなければ不満足な結果に終わる可能性が大であるといわれる.
近年,人工股関節による全置換術が行なわれるようになつて,本法が両側例に対する治療手段としても優れた方法であることが認識されてきた5).しかしながら全置換術の歴史が十年余に過ぎないことから,効果の永続性については他の治療法と比較することはできないが,今後慎重に症例を選んで手術を行なうことによつて,優れた成績をあげうるものと期待される.
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