論述
膝内障の関節鏡診断に関する基本的事項
池内 宏
1
Hiroshi IKEUCHI
1
1東京逓信病院整形外科
pp.634-643
発行日 1973年8月25日
Published Date 1973/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904869
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膝内障の診断について病歴,臨床所見とともに関節造影,関節鏡は必要な診断方法として種々検討が加えられている.半月板に関する造影は外来で容易に行いうる方法として古くからなじみの深い検査法ではあるが,そのレ線像から実際の半月板所見を作図できるようになるまでには,レ線所見と関節切開による所見を比較検討する経験をつみ重ねる必要がある.しかし関節切開をしても関節腔の内景全体を観察することは困難で,反対側の半月板はもちろん同側の半月板の後節でさえも観察困難なことがある.関節鏡は高木教授以来多くの先輩が努力され,その上にさらに渡辺,武田らのたゆまざる努力が積み重ねられて21号関節鏡を開発し,膝内障の診断方法として画期的な進歩をもたらしたが,手術室で麻酔下に実施すること,造影よりも時間がかかることなどは難点であるが,広い視野の下に所見の把握が容易であること,基本操作の習熟が容易であることなどは,これらの欠点を補つてあまりあるものである.しかしながら他のすべての場合と同じように使用法が不適当であると,重大な誤診をしたり,術後,患者に思わぬ苦痛を与えることがある.
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