臨床経験
Marinesco-Sjögren症候群について—5例の症例報告
清水 万喜生
1
,
高松 鶴吉
1
,
佐竹 孝之
1
,
安藤 忠
1
Makio SHIMIZU
1
1足立学園
pp.942-948
発行日 1972年11月25日
Published Date 1972/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904769
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Marinesco-Sjögren症候群とは小脳性失調症,先天性白内障,精神身体の発達遅滞を主徴とする小児の遺伝性疾患であり,1931年Marinesco,DraganescoおよびVasiliuが,4例を報告したのが最初である.この報告はその後ほとんどかえりみられず,1950年にSjögrenがスエーデンにおいて14例の同様な症状を有する症例を報告するにいたつて,始めて諸家の注目が集まるようになつた.その後Richard,Alter,Mullerなどにより相ついで報告され,今日まで,その報告例は数十例におよんでおり,本邦でも藤井らを始めとし,主に神経科領域で十数例の報告がみられる.
近年,肢体不自由児施設では,小児の神経系疾患を取りあつかう機会が増え,整形外科医の立場からもこれらの疾患群を治療の対象とするようになつてきているが,大ざつぱに脳性麻痺と片づけられやすい小児の中枢神経系異常群の中に,本疾患のごとく厳密に脳性麻痺と区別すべき疾患群が存在しており.これらに対しては小児科学との境界領域疾患として正しい知識とそれにもとつく診断が要求されよう.
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