検査法
整形外科診療におけるASLO価の問題点(そのII)
池本 和人
1
,
園崎 秀吉
2
,
鈴木 充
3
,
松浦 美喜雄
4
,
鳥巣 要道
5
Kazuto IKEMOTO
1
1鳥取大学医学部整形外科学教室
2東京大学医学部整形外科学教室
3横浜市立市民病院検査科
4東京大学医学部整形外科学教室
5九州大学医学部第一外科学教室
pp.551-558
発行日 1972年7月25日
Published Date 1972/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904711
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I.はじめに
ASLO価測定はリウマチ性疾患の鑑別診断に欠くことができない.周知のように血清中ASLO価は溶連菌感染に併ない上昇する.その正常上限値は成人125単位,小児250単位とされているが,整形外科外来においても,高ASLO価を示す小児にしばしば遭遇する.
われわれはこうした小児の高ASLO価が必ずしも病的なものでなく,したがつて患者や家族に過度の心配を与えることのないよう配慮しなければならないことを数年来主張してきた1),2).しかし,溶連菌感染後の一定期間は,リウマチ熱,糸球体腎炎,紫斑病,小舞踏病など,一連の疾患を続発しやすい.この時期を後溶菌感染状態(post streptococcal state)と呼び,準病的状態と考える説もあり,溶連菌感染の診断は臨床上ますます重要な課題となつている.
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