手術手技
脊髄腫瘍外科におけるMicrosurgery
辻 陽雄
1
Haruo TSUJI
1
1千葉大学・整形外科学
pp.537-550
発行日 1972年7月25日
Published Date 1972/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904710
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I.脊髄腫瘍外科とMicrosurgery
1887年Horsleyにはじまる脊髄腫瘍の摘出が成功して以来,脊髄腫瘍の臨床症候学的知見もまた急速に解明され,1919年Dandyによるair myelographyにつづく各種の脊髄腔造影剤の開発,最近ではDjindjian,Doppmanなどによる選択的脊髄動脈撮影法の確立によつて,腫瘍の診断はより確実なものとなり,外科的治療にたいし有力な情報が与えられるようになつた.
本邦における腫瘍摘出は1911年の三宅にはじまるが,当時は専ら神経学的診断によつて行なわれたことは言うまでもない.myelographyの導入によつてわが国でも本症の手術施行症例は急速にのび,1935年の前田,岩原の報告では全国例65例を数えているが手術は肉眼的なものであつた.したがつてその手術成績はとくに髄内腫瘍において芳ばしいものとは言い難かつた.
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