臨床経験
骨切り術による大腿骨頭壊死の治療
上野 良三
1
,
船内 正恒
1
,
原田 稔
1
,
松本 直彦
1
,
長鶴 義隆
1
Ryozo UENO
1
1奈良医科大学整形外科学教室
pp.470-476
発行日 1972年6月25日
Published Date 1972/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904700
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いとぐち
大腿骨頭無腐性壊死は,2次性のものを除いて中年の男性に好発し,その半数近くは両側性である。本疾患は,両側に対する治療法の選択や,いかにして治療期間を短縮するかといつた多くの困難な問題を残している.
老齢の患者に対する人工関節置換術あるいは,人工骨頭置換術の優秀性に関して異論はないが,若年者に対して人工骨頭置換術の適用を拡大することには問題があろう.一方,骨頭壊死に股関節固定術を行なうことは,技術的に困難であるばかりでなく,反対側股関節の可動性を保存しうる可能性がなければならない.大腿骨骨切り術は,術後一定の免荷期間を必要とするが,入院期間が短く,機能的予後が良好で,Merle d'Aubignéの報告以来,広く用いられている.年齢的な制限もなく適用となる症例が多い.その他,壊死組織の切除,骨移植を提唱するものもある.青,壮年で可動性を保存した治療が必要な場合には骨切り術が考慮されるが,術式や適用などについて意見の一致をみていない.
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