手術手技
有茎皮弁の実際—軀幹部に作る皮弁の大きさの限界
鬼塚 卓弥
1
Takuya ONIZUKA
1
1昭和大学医学部形成外科学教室
pp.459-467
発行日 1972年6月25日
Published Date 1972/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904698
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はじめに
編集部より依頼されたテーマは,"有茎皮弁の実際"というものであるが,一言で有茎皮弁といつても,その範囲はきわめて広く,きめられた紙数で論ずることはできない.したがつて,今回は,整形外科や手の外科,頭頸部外科などでしばしば用いられる軀幹部の有茎皮弁について述べてみたい.
一般に,有茎皮弁の移植にあたつては,手術目的に沿つた皮弁の作製部位,デザイン,移動法,手術技術など,いろいろな問題点を細心に考慮して手術にあたらなければならない.しかし,皮弁を作る位置がわかつたとしても,そのデザインが悪ければ,まずその出発点で皮弁の壊死をおこし,その後の治療にそごをきたす.したがつて,なにはともあれ,最初に安全な皮弁を作製することがもつとも大切なことということができるが,成書にも文献にも,この点について解明したものがみられない.通常は,皮弁の幅と長さの比が1:2なら安全であろうといわれてはいるが,皮弁を作る部位,皮弁の大きさなどによつて安全でない場合が多くある.特に皮弁が大きくなるにつれて,これらの比率が適応できなくなり,皮膚および皮下組織血管,ならびにそれらの血管への供給,排出血管の位置,大きさ,血流なども影響して,思わぬところで皮弁の壊死をおこすことがある.そこで,今回は軀幹部に作つたいろいろな皮弁を集め,安全な皮弁についての原則を作り得たので,これを紹介したいと思う.
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