論述
AOIによる圧迫骨接合術の問題点
渡辺 良
1
,
岡 正典
1
,
笠原 吉孝
1
,
中根 康雄
1
,
宮田 慶男
1
Ryo WATANABE
1
1岐阜市民病院整形外科
pp.101-113
発行日 1972年2月25日
Published Date 1972/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904649
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はじめに
1958年スイスで結成された研究団体AO(Arbeitsgemeinschaft für Osteosynthese)によつて開発された器具類AOI(AO Instrumente)を用いて行なう圧迫骨接合術については,本邦においても杉本15),積松3)らによる臨床例に関する報告があり,また宮坂8)による基礎的研究も発表されているので,ここに改めてその詳細な紹介を繰り返す必要はないと思われる.
既に知られているごとくAOIによる圧迫骨接合術の特色は,強力な圧迫プレートと,引き抜きの力に対して大きな抵抗を示す螺子類を中心としたAO-テクニックにより,安定した内固定が得られることであり,原則として術後の外固定を必要としない1).そのため早期よりの機能回復訓練が可能となり,通常骨癒合の完成する以前に関節可動域を正常範囲に迄回復させることが可能である.このため外固定を併用する従来の骨接合術に比し治療期間は著るしく短縮され,患者の社会復帰が早められることになる.しかしながらAOI圧迫骨接合術が真価を発揮するためには,必要な器械器具,内固定材料を十分に揃えておくこと,およびその手術手技に習熟することが必要であるのはいうまでもない(第1図).
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