臨床経験
Weber-Huggler型人工股関節による全置換術の経験
渡辺 良
1
,
赤坂 靖三
1
,
琴浦 良彦
1
,
岡 正典
2
,
笠原 吉孝
3
,
中根 康雄
4
,
宮田 慶男
5
Ryo WATANABE
1
1岐阜市民病院整形外科
2京都大学医学部整形外科
3小倉記念病院整形外科
4愛媛県立中央病院整形外科
5岐阜県立下呂温泉病院整形外科
pp.347-352
発行日 1973年4月25日
Published Date 1973/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904831
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はじめに
股関節の病的部分を除去して,これを人工関節部品で置換するという考えが一般に受け容れられるようになつたのはJudetらの業績に負う所が大である20).大腿骨頸部骨折や骨頭壊死など股関節の骨頭側に病変のみられる場合には,人工骨頭置換術などの部分的関節置換術(Partieller Gllenkersatz)が優れた成績を示すことはよく知られている.しかしながら股関節の相対する軟骨面がともに変化を起こしている変形性股関節症の場合には,部分的関節置換によつて一方の関節面のみを人工関節で置換しただけでは満足な結果を得ることは困難であり,Cup法のように相対する両関節面の形成を目指す手術法が必要である.
病的な両関節をともに人工関節部品で置換する全置換(totaler Gelenkersatz)の思想は,この人工骨頭法とCup法の考え方を基にして発展してきたと思われる.J. Charnley5)やG. K. McKee,J. Watson-Farrar13)による全置換術が安定した成績をもたらすようになつて未だ僅かに十年を経過したに過ぎないが,全置換術の症例は年々増加しており,諸家の報告からも優れた成績をあげうる手術法であることがうかがわれる.
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