シンポジウム 四肢末梢血管障害
末梢循環障害における自律神経外科—高圧酸素療法の応用
久山 健
1
Takeshi KUYAMA
1
1京都大学医学部外科学第II講座
pp.587-596
発行日 1971年7月25日
Published Date 1971/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904569
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緒言
昭和41年1月末京都大学に高圧医学研究装置の新設(第1図a,b,第2図a,b)が決定した時,一般の人々(医学研究者を含めて)にとつて耳なれぬ高圧酸素療法という問題を世間と一般医家の人々により正しく理解してもらうために取り上げねばならなかつた.その後多くの人々の協力により高圧酸素療法患者名簿には3年間余りで200余名の患者氏名が残つた(第1表).
その1/3が末梢循環障害と関連した疾患であつた.筆者は既成診療部門分類にとらわれず現在完成した医療手段で治らぬ不治疾患に高圧酸素療法は試みるべきものという考えである.その意味で切断以外に社会に復帰する方法がないという状態に追いこまれた難治性潰瘍患者を切断する前に本法を試みることに努力した.当室は中央診療部門7部門の1つとしてすべての診療分野の患者に対するサービスの目的で設置されているので種々の血行障害患者が含まれている.主題の自律神経外科とは少しはずれるが,シンポジウム・末梢循環障害中で高圧酸素療法の効果の紹介を目的としよう.当室は自律神経外科領域研究者の木村忠司教授を室長にしているので自律神経関係患者がかなりの比率をしめている.なお筆者は高圧医学現象説明に自律神経学理を用いたのである.その意味で自律神経外科に重点をおいて論を進めたい.
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