シンポジウム 四肢末梢血管障害
骨・関節・筋肉の血液循環とその障害
西尾 篤人
1
,
小林 晶
1
Atsuto NISHIO
1
,
Akira KOBAYASHI
1
1九州大学医学部整形外科学教室
pp.556-564
発行日 1971年7月25日
Published Date 1971/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904566
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I.骨・関節の血液循環
骨は堅い緻密な組織であるが,豊富な血流を含む.血液の循環は骨や骨髄の機能保持に最も重要であるとともに,骨成長・骨形成はもちろん骨の傷害の治癒にも大切である.
骨・関節の血液循環に関しては,分布している血管についての最初の研究はLexerによつて行なわれた.すなわち,骨の血管内に水銀乳剤を注入しレントゲン撮影により動脈の走行を明らかにした.その後,血管内に色素を注入しSpalteholz法によつて透明標本の作製,また組織の連続切片を作り血管の立体復構法による血管の追究や,血管内に合成樹脂を注入してかたまらせた後に組織を融解させて合成樹脂の血管の模型による研究が行なわれてきた.血管の微細な走行が明らかになつたのはBarclay(1951)のmicropaqueの血管内注入による研究で,その後にTruetaらにより動物ならびに人間の骨の精細な血管分布が明らかにされた.
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