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連載 卒後研修講座
骨と筋肉のために
-――ロコモ予防について考える――宇宙飛行士に起こる筋骨格系変化とその対応から
Exploration of locomotive syndrome for bone and muscle from the countermeasures of musculoskeletal changes in astronauts
志波 直人
1
,
松瀬 博夫
1
,
大本 将之
1
,
橋田 竜騎
1
,
田川 善彦
2
N. Shiba
1
,
H. Matsuse
1
,
M. Omoto
1
,
R. Hashida
1
,
Y. Tagawa
2
1久留米大学整形外科
2久留米大学リハビリテーションセンター
1Dept. of Orthop. Surg., Kurume University School of Medicine, Kurume
キーワード:
space medicine
,
musculoskeletal system
,
disuse atrophy
Keyword:
space medicine
,
musculoskeletal system
,
disuse atrophy
pp.251-257
発行日 2020年3月1日
Published Date 2020/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei71_251
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は じ め に
健康寿命の延伸には,加齢による運動器の衰え,ロコモティブシンドローム(ロコモ)の予防が重要であるが1),筋肉や骨の廃用性変化は,加齢変化よりも速やかに進行し,宇宙飛行士では無重力により,さらに著しい筋肉や骨の廃用性変化が発生することが知られている.臨床と宇宙飛行士の筋骨格系変化には共通点も多く,廃用性変化への対策は臨床医学,宇宙医学ともに重要な課題である.
われわれは,宇宙環境で有効な筋骨格系維持装置の開発を目指し,無重力環境で使用可能で携行が容易な小型トレーニング装置の研究開発を実施してきた.同時に,臨床での応用を目指し,企業との産学共同研究を実施し,宇宙でも地上でも使用できる装置「宙陸両用装置」と位置づけて研究開発を行ってきた.
本稿では,健康寿命,ロコモに加えて,サルコペニア,フレイルについて概要を解説するとともに,筋肉と骨の廃用について述べ,われわれが実施した宇宙実験結果と,並行して実施した同装置を用いた全身運動効果検証のための関連研究について解説する.
© Nankodo Co., Ltd., 2020