視座
骨折治療への雑感
青池 勇雄
1
1東京医科歯科大学医学部整形外科学教室
pp.821
発行日 1970年11月25日
Published Date 1970/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904470
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骨折治療の要諦は整復と固定を正しく行なうことで,それをできるだけ非観血的に行なうのが原則である.しかし裂離骨折などではネジ釘などの固定が必要となり,大腿骨頸部骨折では釘とかプレートでの固定,さらには高齢者では人工骨頭置換さえ必要となり,また長管骨骨幹骨折に釘やプレートや髄内釘が適応となり,膝や足など下肢の骨折では変形を残さないように手術を必要とするなど,日ごろ骨折の手術が非常に多くなつている.特に交通事故による骨折では治療の困難なものが多くなり,手術例も増えている.そのような傾向はともすると安易に手術が行なわれ,切らないでも良い骨折までも切つていないだろうかと反省すべきである.
殊に手術されながら,変形治癒や偽関節をのこしているものを見るたびに痛感することである.
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