視座
脳性麻痺に関して
佐藤 孝三
1
1日本大学医学部整形外科学教室
pp.657
発行日 1970年9月25日
Published Date 1970/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904446
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この8月に札幌で日本リハビリテーション医学会が開催され,そのシンポジウムに脳性麻痺のリハビリテーションがとりあげられた.河邨文一郎会長が司会者となつて,基本方針について小池文英博士,居宅脳性麻痺児について七戸幸夫・高橋武両博士,職業的リハビリテーションについて佐藤俊之博士,脳外傷,脳手術後遺症について喜多村孝一教授が演述されたが,脳性麻痺のリハビリテーションがいかに困難であるかが浮き彫りにされて,考えさせられることが多かつた.
そもそも脳性麻痺とは何ぞやという質問に対する解答は,現在のところ,中枢性運動障害を主症状とする病変で,その原因は発育途上にある脳になんらかの傷害が加わつて起こり,それに基づく障害が持続し,もとの傷害自体は非進行性のもの,といつたような漠然としたものである.したがつて脳に傷害を与える原因は一元的でなく,傷害の部位や程度も一定していない.1つの独立疾患ではなくて,疾患群あるいは複合障害と呼びたいところである.
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