論述
骨腫瘍におけるArteriography
松野 誠夫
1
,
後藤 守
1
,
奥泉 雅弘
1
,
菊田 圭彦
1
,
稲田 正範
1
,
水野 良純
1
Shigeo MATSUNO
1
1北海道大学医学部整形外科学教室
pp.1004-1014
発行日 1967年10月25日
Published Date 1967/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904302
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はじめに
動脈造影法は,1895年X線の発見とともに行なわれ,1950年代にほぼ完成したと述べても過言ではない.すなわち,血管内造影剤注入によるレ線撮影が,まず切断肢(Hascheck & Lindenthal 1895),摘出子宮(Freund 1904)および子宮筋腫(Sampson 1912)について試みられた.1927年Monizが人の内頸動脈より脳動脈造影に成功し,ついでDos Santos(1928)により腹部大動脈および四肢動脈系造影が行なわれるに及んで,肢体肉腫動脈造影所見の報告が,Dos Santos,Lamus,& Caldas(1931),斎藤・神川(1933)などによりなされている.そして造影剤の改良,連続撮影法の採用(Dos Santos 1950)およびその撮影器械の進歩によつて,1950年代にはほとんど身体全域の動脈造影が可能となり,種々な疾患の動脈造影所見が,諸家により報告されており,最近では脊椎疾患への応用もみられる.
骨腫瘍の治療の際,少なくともその腫瘍の良性か否かの診断は不可欠であるが,適確な腫瘍種別の診断は必ずしも容易ではない.この有力な補助診断法として,動脈造影法の検査は重要である.骨腫瘍の診断に資する最も大切な動脈造影所見は何であるか,本法の意義とその限界について,われわれの経験例をもとに検討したいと思う.
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