シンポジウム 先天性股関節脱臼 私の治療法
いわゆる難治性先天股脱の非観血的治療法—我々の内旋外転装具について
高砂子 七郎
1
1順天堂大学医学部整形外科学教室
pp.291-298
発行日 1967年3月25日
Published Date 1967/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904208
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緒言
先天股脱の非観血的治療(特にLorenz法)の施行後,(1)種々の原因でPerthes様変形を生じたり,(2)股臼と大腿骨頭の形態上の非適合により,又関節内介在物等のためにも股臼底と骨頭との間がX線学的にいわゆる離れ過ぎて,遺残亜脱臼を呈し,臼蓋急峻(Shallow pfanne)を残すもの等がある.(3)Coxa vara,Coxa valga等の大腿骨頸部変形を生ずるものもある.(4)Limbusの反転,肥厚,骨頭靱帯の延長や肥厚等で非観血的療法ではいわゆる難治性股脱として,更に観血的手術を要するものがある.時に度々整復と固定及び再脱臼を繰り返えして来院することがある.以上の(1)から(4)項目の症例は従来の治療法では甚だ治療に困難を感じる.これ等に対し我々は内旋外転装具を考案した.その後装具を漸次改良して横バーを成るべく長くし,膝関節の屈曲度を増し,又横バーの伸縮を計つた.従つて股関節高度屈曲時はLorenz肢位に近く,伸展時は下肢の内旋外転が強くなり,Lange肢位に近づく様に工夫した.従つて体重負荷を許さず歩行はさせない方針をとつた.
我教室では本装具は昭和32年以来使用し始め,近年症例数も増加し,治療終結後5年以上を経たものも多くなつたのでここに併せて遠隔成績を報告する.
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