診療の経験から
脊髄損傷に対するRolling Plaster jacket,Rocking plaster shell開発についてあれこれ
山田 憲吾
1
1徳島大学医学部整形外科
pp.73-82
発行日 1967年1月25日
Published Date 1967/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904181
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はじめに
物事にはすべて「きつかけ」が必要だ.臨床の実際は成書で書いてある通りには行かない場合が多い.そこで色々と工夫をこらして解決を試みる.たとえそれがささやかなものであつても貴重な独自の体験であり,深く思いをこらすならばそれが案外と重大な事柄に対する解決の糸口であつたりすることも稀ではない.
しかし臨床の日々は全く忙しい.従つて物に則して考えると云う暇がない場合が多い.そこで公式的に処理して解決が得られたと考えていることが屡々ある.それでよいのだろうか.医者である限りにおいてはスピーディーに処理出来なければ有能な医師とは云えないし,鈍な要領の悪い男と思われても致し方ない.しかし医者であつても研究者と云うことになると要領の良し悪しだけを云う訳にも行くまい.大体研究などと云うものは一寸したことでも随分と廻り道をしなければならない仕事だから,要領が悪くなるのも致し方のないことかも知れない.世間でよくある事だが頭のよく切れる人が毎常よい研究家であるとは限らない.どうせ研究に徹するつもりならあまりせつかちでない方がよいと思う.
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