論述
前立腺癌骨転移巣における骨形成について
若松 英吉
1
,
青柳 耐佐
1
,
日下部 明
1
Eikichi WAKAMATSU
1
1東北大学医学部整形外科学教室
pp.353-359
発行日 1969年5月25日
Published Date 1969/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904073
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まえがき
癌の骨転移巣のX線学的所見に関しては数多くの観察がなされている.X線学的所見としては骨溶消像と骨形成像が基本となり,多くの癌は骨溶消像を呈し,また乳癌は混合型の像を呈することが多いとされている.骨形成像ないし骨硬化像を示すものは前立腺癌,胃のsignet cell carcinoma,気管支癌などの骨転移巣であり,前立腺癌はその代表的なものである.しかし教室の土田らが21例の前立腺癌骨転移例のX線像について観察したところでは,骨形成型18例,骨溶消型1例,混合型2例であり,前立腺癌がすべて骨形成的X線像を呈するとは限らないことを示している.背椎,ならびに骨盤のX線写真に,広範かつ著明な骨硬化像を認めるなら,大理石病,Paget病,肉腫,梅毒,中毒性骨症など比較的まれな疾患を考えるより,まず前立腺癌の骨転移を疑うのが常識的である.
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