文献抄録
前立腺癌の凍結治療—転移巣への影響
pp.1018
発行日 1970年11月20日
Published Date 1970/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413201032
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前立腺悪性腫瘍に対して凍結外科治療が行なわれるようになつてから前立腺組織の冷凍破壊による免疫学的効果の可能性について論議が行なわれている。著者らは実験的に家兎前立腺を液体窒素で凍結させると凍結組織に対する抗体が産生され,その抗体は前立腺組織の自己抗体であることを知つた。そして著者らは過去4年間に80例の前立腺癌患者を凍結外科的に治療し臨床的観察を行なつているが,第3度の前立腺癌症例中,肺・リンパ節などに著明な癌転移を認めた患者が2ないし3回の前立腺凍結後に転移巣の極めて緩解した3症例を述べている。
第1例は68歳の第3度前立腺癌患者で,頸椎Ⅳに骨転移があり,排尿障害,夜間頻尿,右上肢の疼痛・知覚鈍麻,頸部の不動性,腰痛などを訴えていた。1968年6月19日に第1回の前立腺部凍結を施行し,排尿障害が改善され,7月18日に2回目の凍結を行なつたところ,その後2週間して頸部の疼痛,上肢の麻痺は消失,頸部も動くようになつた。1969年2月のレ線所見で骨転移巣に骨の再生を認めた。
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