シンポジウム 日本の義肢問題
動力駆動義肢
義手の感覚装置
川村 次郎
1
,
末田 統
2
Ziro KAWAMURA
1
1大阪大学医学部整形外科学教室
2大阪大学基礎工学部生物工学研究室
pp.855-858
発行日 1968年10月25日
Published Date 1968/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408903987
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はじめに
これまでの義手に関する研究は多いが,義手に感覚を持たせようとする研究は非常に少ない.現在実用に用いられている義手で感覚機構を備えた義手はまだ一つもない.
第2次世界大戦直後にリヒテンシュタインのWilmsが製作した電気義手は,失なわれた手を動かすのと同じ感覚をもつて動かすことのできる最初の義手であるが,また物を把持したときの力の強さを断端に逆に伝達する機構をも備えていた2).しかし彼の特許にもとづいてフランスで生産されている義手の最近の型では,切断者への感覚の伝達機構は取除かれている6).最近,東京医科歯科大医用器材研の鈴木10)らと,カナダのDorcasら3)は彼らの筋電流制御義手の論文において義手の把持力を切断者の耳に音として伝える考えをのべているが,使用結果についてはまつたくふれていない.
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