装具・器械
義手感温装置の試み—とくに温度警報装置として
大田 仁史
1
,
伊藤 邦彦
2
,
三浦 哲史
3
Hitoshi OTA
1
1東京医科歯科大学整形外科教室
2伊藤病院
3芝浦電子製作所
pp.956-958
発行日 1969年12月25日
Published Date 1969/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904166
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四肢切断者のために機能的に本来の手足により近い義肢装具が開発されることは,患者にとつても,また治療にたずさわるものにとつてもこのうえない喜びである.最近,北海道の患者さんから,前腕切断端部が冬になるととくに外出時など冷えてつらいため,白金懐炉を義肢の上に包帯で結んで暖をとつているという切実な訴えを聞いた.言われてみると,なるほど現在この種の装具の開発は耳にしない.簡単なようでいざ実用品となるとなかなか難しい問題がでてくる.電気毛布の原理を利用していろいろ研究しているが,消費電力,ヒーター,ストッキネットの材質など検討せねばならぬことが多い.しかし,切断にたずさわる医師として,この種の問題にも積極的に取り組まねばならぬことはいうまでもないことであろう.
われわれはこの種の研究の一環として,義手からある程度の温覚を得ることはできないかという単純な発想より,サーミスターを利用して以下の装置を試作してみた.装飾用の義手指尖にサーミスターをとりつけ,温度によるその抵抗の変化を利用してヒーターを熱め,健康な皮膚に温度を伝えるという装置である(第1,2図).
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