シンポジウム 日本の義肢問題
基礎的問題
人工の指と六本足歩行機構
森 政弘
1
,
村上 公克
2
Masahiro MORI
1
1東京大学生産技術研究所
2大学院
pp.858-864
発行日 1968年10月25日
Published Date 1968/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408903988
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はじめに
筆者らの研究室で工学的な立場からみた指の研究を始めて以来,すでに7年になる.当時の室員として実際の研究に当つた山下の着想と努力によつて,予想以上の成果を収めると同時に,その内容は内外各界からの反響をよび,とくに,その当初は工業界よりもむしろ医学界での関心の度合いが著しく,米国ミシガンの手の外科専門病院長の訪問を受けるほどであつた.そのような事情もあつて,手足の欠損や傷害についての臨床例に接する機会が必然的に多くなり,はからずも,筆者の目的意識の中に義肢の問題が大きなウェイトを占めるようになつたのである.と同時に,歴史が古いといわれる義肢の生産体制が,いまだに家内工業的であることにも少なからぬ不満を抱かざるをえなかつた.したがつて,ここでは,まず,義肢の問題を指の工学という観点から論じ,ついで筆者らの研究室で試作した人工の指や歩行機械に関する若干の説明を試みたいと思う.なお,次節の"指の工学"は筆者の1人である森が岡山で開催された第41回日本整形外科学会総会のシンポジウムにおいて同一テーマで発表した内容を骨子にしたものである.
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