診療の経験から
腰仙移行椎に対する固定術の経験
増原 建二
1
,
宮城 浩
1
,
城戸 光
2
,
田中 武夫
2
Kenji MASUHARA
1
1奈良県立医科大学整形外科
2大阪府済生会西成病院整形外科
pp.57-63
発行日 1968年1月25日
Published Date 1968/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408903863
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
腰仙移行椎における巨大横突起が,腰痛との関連において検討されたのは,すでに古い.本邦では,故神中教授が脊椎奇形の宿題報告の中で,その臨床的意義に関して詳述されて以来,今日では,ほとんど顧みられないようになつた.たしかに,腰痛の原因として,椎間板性,椎間関節性,筋・筋膜性のものが解明されつつある現在において,腰仙移行椎が単純レントゲン像で,骨奇形として把えやすいというだけの理由で,これを腰仙痛に結びつけることは誤りを犯すことになるし,また,他に腰仙痛の原因が見当らず,移行椎における横突起障害と診断するのが最も妥当である場合においても,その大部分の症例が,保存的療法によつて症状の改善をみることから,それほど問題にされなくなつてきたのも否めない事実である.
腰痛の頻発する最下位腰椎部において,構築上の弱点としての移行椎が,上記の病因と併存することは多く,単独に横突起障害と診断するには,故神中教授の指摘されたように,きわめて慎重でなければならない.
![](/cover/first?img=mf.1408903863.png)
Copyright © 1968, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.