臨床経験
大腿骨骨幹部骨折に対する自家脛骨片を用いた2面固定法
塩津 徳政
1
,
勝 良顕
1
,
寺松 潔
1
1厚生年金玉造整形外科病院
pp.515-522
発行日 1966年8月25日
Published Date 1966/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408903790
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まえがき
一般に大腿骨々折の観血治療は,どの様にすれば確実に骨癒合の目的を達成出来るかということが本報告の眼目である.大腿骨のように人体の長管骨のうちで最も長大でしかも強力な筋群に包まれた骨では,その整復固定の操作が必ずしも容易でなく,症例によつては相当高度の技術を必要とすることがある.近年,観血治療の適応が益々普及拡大されるに伴つて,多くの優れた治療成績が挙げられるようになつた反面,極めて悲惨な結果を招く症例も跡を絶たない現状である.観血治療を行う場合でも,すべての症例に於て期待された経過をたどるものとは必ずしも断言出来ないものであるから,予期に反して悪い経過をとる場合もあることを十分考慮にいれて慎重に手術方針の決定に当らなければならない.大腿骨々折の手術失敗例の中でも最も厄介なものは,遊離骨片は勿論骨折端部に高度の骨栄養障害を伴うものや骨髄炎を併発して瘻孔を伴つた偽関節であるが,これらに対する治療法は又別の機会に譲るとして,普通見られるような遷延治癒乃至は偽関節でも,治療日数の著しい延長とともに不快な膝拘縮の合併が避けられなくなる.
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