診療の経験から
わたくしの偽関節手術の組たて方
岩原 寅猪
1
1慶応大学医学部整形外科
pp.59-63
発行日 1966年4月25日
Published Date 1966/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408903721
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偽関節の手術についてはいろいろの考え方があり,いろいろのやり方がある.人おのおの自分の好むところ,慣れた方法に従つて手術すればよいことになる.しかし実際問題として千術はいつもそうたやすく成功するものとは限らず,それどころか二回,三回と手術を繰り返えされてもなお治癒にいたらず焦げつききつた代物にお目にかかることもそう珍しくはない.こうしたものを取り扱つて教えられ鍛えられて,わたくしはわたくしなりに自分の得手,自分の流義というものができてきた.これが最良最上とはいわないが年の功によるものであるということだけはいえると思うので敢て紹介する.
1.基本的な考え方として(1)局所の条件を改善しておく,(2)組織を傷めない,(3)自家海綿骨を骨内式に移植する,(4)できるだけ局所に異物を用いないなどの項目があげられる.いずれも平凡なものばかりで,とくにとりたてていうほどの特徴がないといわれるであろう.しかしこの平凡の組み合せが手術を成功させてくれ,秘法が案外身近かにあることを知らされる.要はこれらの項目を忠実に実施することであつて,秘訣はこの忠実な実施にあるといえる.
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