統計学/整形外科医が知っておきたい
2.2群の平均値の差の検定(t検定)―腐ってもt
小柳 貴裕
1
1東京歯科大学市川総合病院整形外科
pp.1427-1432
発行日 2001年12月25日
Published Date 2001/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408903438
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2群の差の検定には,t検定が用いられる.今日のように統計ソフトの普及していない時代には,何でもかんでもt検定という印象もあった.しかし,例えば2群(標本数;m,n)の平均値の差の検定にt検定を用いるには次の3つの制約がある.
ⅰ.データは間隔尺度であること
ⅱ.2群とも母集団が正規分布であること
ⅲ.2群の分散も等しいこと
ⅰはよいが,ⅱ,ⅲはいかにも扱いにくい条件である.現在ではt検定の持つこれらの制約から,分布の型によらないnonparametric検定であるMann-WhitneyのU検定が汎用されていることは周知の事実である。t分布自体は極めて造詣の深い分布であるが,これを利用した検定は果たして21世紀は生き残るものなのか.
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