ついである記・59
ロワール川
山室 隆夫
1,2
1京都大学
2生産開発科学研究所
pp.966-968
発行日 2001年8月25日
Published Date 2001/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408903345
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フランスといえば私達はすぐにパリを連想するほどに,フランスに於けるパリの都会的文化の重みは大きい.しかし,パリやマルセイユなどの都会を離れて,列車や車で地方へ旅をすると,フランスはどこまでも田園風景が続くような大農業国であることに気付かされる.その田園風景の中に点在する田舎の集落や古城は互いに見事な調和を見せていて,他の国の田舎には無い酒落た雰囲気を醸し出している.
特に,ロワール川(Roire)沿いの田舎には何十という中世以来の古城が森の中や,あるいは,川に臨んで点在していて「世界で最も洗練された田舎」を演出している.ドイツのライン川沿いの丘の上に立つ多くの古城や,ウエールズのスノードン山系に点在する古城も美しいが,それらの多くは廃墟と化しており,過去の血腥い歴史や物悲しい伝説に色どられている.これとは対照的に,ロワール川沿いに立つフランスの古城群の多くは,今も華やいだ雰囲気に満ち,建物や庭園もよく手入れがなされており,中には,かつての貴族の子孫が今も住み続けている城さえある.
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