視座
患者との関係
高岸 憲二
1
1群馬大学医学部整形外科学教室
pp.713
発行日 2000年6月25日
Published Date 2000/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408903007
- 有料閲覧
- 文献概要
患者の心を傷つけない医療教育「患者にとって心地よい接し方を学ぶ」という目的で模擬問診を講義の一環として取り上げる医学部も増えてきている.医学の知識が増えると,患者はどうしようもなくわがままで,頼りなく見えるときが医師には必ずある.しかし,医学知識以外に患者への接し方も患者とよいコミュニケーションを続けていく上で重要であるのは言うまでもない.
長く臨床に携わっていると,どの医師も特定の検査や治療を希望する患者さんを経験している.私も以前勤めていた病院で,肩こりと頭痛を主訴とした一人の中年の患者に対して頚椎疾患と考えて症状を説明したところ,頭部のMRI検査を受けたいと言ってきた.頭部の病変からくる症状とは全く考えられず,MRI検査は全く役に立たないと説明したにもかかわらず,是非受けたいとのことであった.また,慢性関節リウマチの患者さんで,「自尿を飲む」尿療法がリウマチに良いと書いてあったので飲みたいが,その治療法を行ってよいのだろうかと聞いてきた方や,ある抗リウマチ薬を飲むと完全にリウマチが治ると聞いたので是非処方してほしいといった希望をされる患者さんもいる.
Copyright © 2000, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.