視座
教授とは―21世紀における整形外科学教室のあり方について
伊丹 康人
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1財団法人日本股関節研究振興財団
pp.1295-1296
発行日 1999年11月25日
Published Date 1999/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408902834
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新緑滴る五月中旬,某大学の教授昇任の祝賀会が行われた.その時,以下のような祝辞を述べられた方があった.そのお言葉に小生は目から鱗が落ちるような感銘を受けた.
まず大要を紹介すると,教授というポジションは,医科大学で治療・研究・教育に携わっている者の一応は今までの目標であったに違いないが,決してそれが最終点ではない.教授になってから,それまでの仕事をいかに伸ばし,さらに新しい仕事を進めていくかが重要である.さらに氏は,本田技研の創始者,本田宗一郎氏の言葉を引用され,「課長・部長・社長も包丁・盲腸・脱腸と同じように,符丁に過ぎない.人間の価値とは全く関係ない」と言われ,よき片腕であられた藤沢武夫氏にも「社長とは一つの職名であって,決して人間のランキングではない.にもかかわらず社長になると,元帥にでもなったつもりで威張りたがる人がいる.社長は世の中でもっとも危険な商売だ」と言われたというのである.そして,祝辞を述べられた方が,御自分の言葉として言われたことは,「社長を教授に置き換えてみると,教授とは一つの職名であって決して人間のランキングではない.にもかかわらず教授になると,元帥にでもなったつもりで威張りたがる人がいる.教授とは世の中でもっとも危険な商売だということになる」と言うのである.
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