視座
整形外科医の基礎研究に思うこと
越智 隆弘
1
1大阪大学医学部環境医学
pp.1203
発行日 1993年11月25日
Published Date 1993/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408901233
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今年も整形外科基礎学術集会は信州大学医学部整形外科寺山和雄教授のもとで盛大に開かれた.立派な企画,素晴らしい会場と申し分はなかった.それ以上に感銘したのは発表内容が年々充実していることであった.
私たちの年代が若手であった頃には整形外科医では変わり者が熱心に基礎研究をしていたと思う.私自身も整形外科医の研究は時間をなんとか割いての道楽的なものと思っていた.アメリカ整形外科医はもっとハッキリしていた.「整形外科医がなぜそんな研究をするのか」という真剣な質問がきた.今年の学会場での討論を聴きながら,完全に時代が変わったことを痛感した.基礎的研究など何の苦もなくこなしている若い研究者が何と多いことか.遺伝子レベルの解析を例にとっても,数年前までの討論は聴いていて借り物の言葉を話している感じがした.しかし,今年は多くの人が自分の言葉として討論していた.
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