連載 外科医の私論
外科医の減少について思う
前田 耕太郎
1
1湘南慶育病院/藤田医科大学
pp.16
発行日 2023年1月1日
Published Date 2023/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_geka85_16
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外科医の減少の問題が叫ばれて久しい.海外の知人の外科医に聞くと,この傾向は日本だけではないらしい.ただし米国では相変わらず外科の人気は高いようである(この理由は後述する).自分が外科医になった理由を振り返ると,より多くの患者の命を救えるのは最終的に外科医ではないかと思ったのが一番の理由であった.外科医になって日々の臨床に追われているときには,朝早くから夜遅くまで仕事をしているのが当たり前であり,電話やポケベル(今ではもう使われていないが)が鳴ると,患者さんに何か変化があったのかとビクビクして対応していたものである.それでも,天職と思って外科医を続けてきた.外科臨床の疑問や問題を解決するためにいろいろな研究を行ったり新しい手術手技を考案できたことは仕事への原動力となり,これをより多くの先生に知っていただくために学会で発表して評価されたときは望外の喜びであった.振り返ると,自分を動かしてきたのは充実感であり,やりがいであったのだと認識する.
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