私論
若手整形外科医の指導について思うこと
馬場 一郎
1
1大阪医科薬科大学整形外科准教授
pp.330-330
発行日 2025年4月1日
Published Date 2025/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei76_330
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今から30年ほど前,骨・軟部腫瘍の手術を始めたころの話です.術前にMRIとCTをみながら解剖の本と見比べて腫瘍切除のイメージをし,画像をプリントして切除縁を記入しプランを考え,切除後の組織欠損に対する人工関節設置や植皮,皮弁などの再建を考えて手術を行っていました.今も基本的には同じことを行っています.しかしながら,いろいろと発展した部分もあります.術前の造影CTから3Dイメージを作成し,さらには3Dプリンターで実物大モデルを作成し術中に横に並べて手術ができるようになったこと,脊椎や骨盤などではナビゲーションも使用して正確に骨切りすることなども可能となっています.また,術中の大量出血が危惧される例には術前の動脈塞栓術,様々な止血材の使用や血管を剝離して糸で結紮するしかなかった時代から結紮クリップや超音波切開凝固装置も使用可能となり,出血に難渋することは減ったように思います.さらに人工関節に関してもヒンジ関節からローテーティングヒンジ関節へ,そして最近はステム固定に多くの骨温存が可能な特殊な固定システムも使用可能となっています.加えて人工関節や脊椎の一部の手術ではロボットも登場して手術支援ツールとして使われています.様々な疾患の情報やデータは紙媒体で確認し,手術の手技も手術見学に行くか画質の悪い録画ビデオをみるかしか方法がなかった時代とは格段の違いです.
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