Japanese
English
臨床経験
肥厚性脊髄硬膜炎により脊髄横断麻痺を呈した1症例
A Case Report of Hypertrophic Spinal Pachymeningitis
藤本 啓治
1
,
濱田 彰
1
,
浅田 雄一
1
,
日下部 育男
1
,
藤原 正富
1
,
菅 俊光
1
,
泉 春暁
2
Keiji Fujimoto
1
1関西医科大学付属香里病院整形外科
2関西医科大学付属香里病院中検病理
1Department of Orthopaedic Surgery, Kansai Medical University
キーワード:
硬髄膜炎
,
pachymeningitis
,
肥厚性
,
hypertrophic
,
対麻痺
,
paraplegia
Keyword:
硬髄膜炎
,
pachymeningitis
,
肥厚性
,
hypertrophic
,
対麻痺
,
paraplegia
pp.743-746
発行日 1992年6月25日
Published Date 1992/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408900881
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抄録:胸椎部に発生し脊髄横断麻痺を呈し肥厚硬膜切除,および人工硬膜充填にて軽快した症例を経験したので報告する.症例は69歳の女性.両下肢の放散痛及び歩行障害を主訴に当科受診.ミエログラフィー,MRI,ミエロ後CTにて第1胸椎高位から第7胸椎高位までブロック像を呈し,入院精査中,痙性不全麻痺への進行が見られたため脊髄腫瘍を疑い,第1胸椎から第10胸椎まで全椎弓切除術,硬膜切除術,および人工硬膜充墳術を施行した.硬膜の肥厚は著明で特に第4胸椎高位から第6胸椎高位では著しく約8mmの厚さを有していた.組織学的には膠原繊維の増生と硝子様化した所見,およびリンパ球,プラズマの浸潤を伴った肉芽腫様の所見を認め,慢性炎症による硬膜の肥厚所見(pachymeningitis)と診断された.術直後より自覚的な下肢のしびれ感,知覚鈍麻,下肢筋力は改善し,術後10カ月で術前の麻痺症状は全く消失し,独歩可能で日常生活においても支障はない.
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